NHK「クローズアップ現代」で、12月13日に放送された、「夫婦げんかで子どもの脳が危ない!?」という特集が放送されました。日常的に繰り返される激しい夫婦げんかは、子どもの脳を傷つけているというのです。子ども自身が暴言暴力を受けて育った場合に悪影響があるという話ではなく、子ども自身は暴言暴力を受けない場合でも、悪影響を受けてしまうということです。

 驚いた方も多いかもしれません。子どもたちや保護者の方と接することの多いカウンセラーとしては、現場の実感と一致する内容の放送でした。番組では、友田明美さん(福井大学教授)の行った学術的な調査結果が紹介されていました。夫婦間の身体的暴力を目の当たりにしてきた人と、夫婦間の言葉の暴力に接してきた人を選んで、脳をMRIで調べたそうです。番組によれば「その結果、双方とも脳の一部が萎縮していましたが、身体的な暴力を見てきた人は萎縮率が3.2%だったのに対して、言葉の暴力は19.8%と6倍も高いことがわかったのです。」ということです。

 その調査で使われたアンケートがクローズアップ現代のホームページで紹介されています。そのアンケートは、“子どもが暴言をどれくらいの頻度で聞いていたか”について、15個の質問に“0”~“7”で回答するものでした。ぜひ、自分なりに回答してみて下さい。得点の目安も書かれています。

 一方、夫婦の間でのケンカはどの家庭でも普通にあることではないでしょうか? 夫婦げんかが子どもの脳に悪影響があるというのは、真剣に考えると、途方に暮れてしまうような感じを持つことかもしれません。普通のことが子どもの脳にマイナスになっていると言われると、子どもを大切にしている保護者の方は、本当にどうしたら良いか分からなくなってしまいます。

 どうすれば良いのかについて、友田先生の研究では触れられていませんでしたが、スタジオでは信田さよ子さん(日本臨床心理士会理事)がも交えてどうすれば良いについて少し解説していました。一つは、夫婦げんかそのものを少なくするにはどうするかということです。

 夫婦げんかがあっても、子どもが心の傷を回復していくことができるのではないかというケースが報告されていました。それには、子どもの長所やちょっとした良かったことをファイルにまとめて保存しておくという取り組みです。それをとおして母親が子どもの良いところに改めて気づいたことで子どもが“自己肯定感”が高まり、心が安定してきたということでした。

 さらには、心の傷が生じてしまっても、しっかりとしたケアをすると脳も回復するという研究もあるということです。番組では、子どもの言葉を受け止めてあげるということ。りんごの絵を描いたら「りんごの絵を描いたんだね」と言葉で受け止めることが大切だと言うことです。もう一つは、夫婦げんかをしたあと、“話し合ってちゃんと仲直りした”ということを伝えること“あなたのせいじゃないよ”ということを伝えること、仲直りした仲の良い姿を見せることの3つが大切ということです。
 こういったことが大変気になるところですが、番組では、あまり時間が残っておらず、物足りない印象でした。


 ----PR-----PR-----PR------PR------PR---- 
| 不登校・登校しぶりでお悩みの保護者の方にお勧めのカウンセリング        |
 ----PR-----PR-----PR------PR------PR---- 


 ここでは、夫婦げんかの後の子どもへの対応について、もう少し詳しく説明してみます。ケンカの後の子どもへのかかわり方は、子どもの心の傷(つまり脳のダメージ)を軽減していくためには、非常に大切だと思われます。

 1つは、きちんと子どもに謝ることです。夫婦げんかで子どもに不安な思い辛い思いをさせたことをしっかりと言葉に出して謝ることが大切です。「お父さんとお母さんがケンカをして、○○ちゃんにイヤな思いをさせてしまってごめんね」などと謝ることです。両親ともに謝ることが大切ですが、どちらかだけが謝る場合には、「お父さんも(お母さんも)ごめんねって言ってたよ」と伝えることが大切です。

 2つめは、子どもの感情に目を向けて、子どもが自分で言葉にして表現できるように促すことです。「お父さんとお母さんがケンカしてたとき、○○ちゃんはどんな気持ちだった?」などと聴いてみると、子どもが「怖かった」などと応えてくれると思います。さらに「からだのどの辺に怖い気持ちがでてきたの?」などと聴いて、そのあたりを子どもと一緒になでてあげたりすることも良いケアになると思います。ここでも「ごめんね」などと謝ることが大切です。

 3つめは、子どもに“子どものせいではない”と明確に言葉で伝えることです。子どもは、良いことが起きたときにも悪いことが起きたときにも自分と結びつけて考えてしまいます。例えば、遠足の日に雨が降って遠足に行けなかった場合には、「自分が悪い子だから雨が降ったんだ」などと考えてしまうのです。親のケンカに直面した子どもは、「自分が悪い子だからお父さんとお母さんがケンカするんだ」というふうに捉えてしまいます。だからこそ、言葉で明確に「あなたが悪いわけではない」と伝えることが大切です。

 4つめは、仲直りしたということを行動と言葉で子どもに伝えることが大切です。仲直りした姿を子どもに見せることは大切です。それを通して、子どもが安心感を感じるからです。さらに言えば、「お父さんがお母さんにごめんなさいって、謝って、お母さんもお父さんにごめんなさいって謝って、それから2人でハグして仲直りしたよ」などと言葉で伝えるともっと良いと思います。言葉で伝えると様子を見て分かっていることが“ハッキリ”分かるので、子どもの安心感が高まるのです。

 こんなふうにケンカをした後に子どもに関わることは、子どもの心のケアをするだけではなく、子どもが人との関わりかたを学ぶことにつながります。
 
 お子様とのかかわりについてお悩みの保護者さまにはリソースポートのカウンセリングも選択肢の一つです。よろしければリンク先をご参照下さい。
 

タグ :子育て

同じカテゴリー(子育て)の記事画像
メールマガジンを始めます
児童心理5月号(金子書房)「いじめ再考」
カウンセリングでボードゲームを使うこともあります
知能検査WISC4を受けることができます。
子どもがなかなか寝ない
鉛筆の持ち方
同じカテゴリー(子育て)の記事
 メールマガジンを始めます (2018-06-14 21:47)
 透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記 (2018-05-06 18:57)
 児童心理5月号(金子書房)「いじめ再考」 (2018-04-13 14:39)
 カウンセリングでボードゲームを使うこともあります (2018-04-04 14:39)
 知能検査WISC4を受けることができます。 (2018-04-04 14:22)
 先生の役割を見直す (2017-12-25 16:55)
Posted by リソースポート at 13:27│Comments(0)子育て
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
コメントフォーム
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
プロフィール
リソースポート
リソースポート
茨城県守谷市のカウンセリングルーム「リソースポート」です。主に子育てについてのカウンセリングを行っています。カウンセラーは学校心理士スーパーバイザー・臨床心理士の資格を持っていて、20年以上のキャリアがあります。
QRコード
QRCODE
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人