2017年11月02日

鉛筆の持ち方

 スクールカウンセラーとしていくつかの小学校や中学校で活動していますが、最近少し気になっていることがあります。それは、お箸の持ち方と鉛筆の持ち方です。ほとんどの学校では、給食は順番にクラスを回って子どもたちと一緒に食べるようにしています。中学校で気づいたのですが、お箸を持たないで、スプーンで食べている生徒をちらほら見かけるのです。最初は、お箸を忘れたのかなと思っていたのですが、そうではなくて、スプーンの方が食べやすいという生徒もいて驚きました。それと同じようなことですが、正しい鉛筆の持ち方ができていない子どももよく見かけるので気になっています。

鉛筆の持ち方は成績に関係するようです

 正しい鉛筆の持ち方ができないと、どんなことが良くないでしょうか? 見た目が悪い、字がきれいに書けないなどは、多くの保護者の方が感じていると思います。しかし、それだけではなく、勉強の成績にも大きく関係していると言われています。
 例えば、鉛筆の持ち方が悪いと、字を書く時に非常に疲れやすくなります。そうすると、漢字を練習して覚えるときには、何度も書くことが子どもには大きな負担になってしまいます。そうすると、漢字の学習にも悪影響になります。それだけではなく、字を書くことそのものが大変な負担になりますから、授業中にノートを書くことが億劫になったりして、勉強のやる気もそがれがちです。
 また、テストの時にも、自分で書いている字が自分の手で隠れてしまうこともあります。そうすると、細かな部分で字を間違ってしまうとか、筆算で計算をする時に繰り上がりの数字が見えなくて、計算ミスをするということもあります。
 そういったことがあって、鉛筆を正しく持つことは、学習が定着していくために非常に大切なことなのです。成績にも大きく影響することが分かっていただけると思います。

鉛筆の持ち方はずっと間違ったままになってしまいます

 鉛筆を正しく持てる子どもの割合についてのある調査の結果を紹介します。小学校1年生では正しく持てる子どもは、3.8%、小学校2年生では2.3%、小学校3年生では5.6%、小学校4年生では2.9%、小学校5年生では4.7%、小学校6年生では4.7%、中学校1年生では4.1%、高校生では7.2%、大学生では7.6%ということです。ほとんどの人が鉛筆を正しく持てていないのですが、年齢が上がっても、正しく持てる人の割合はほとんど増えていきません。つまり、最初に間違った持ち方で鉛筆を持つようになってしまったら、そのままなかなか直らずにずっと正しくない持ち方で鉛筆を持つようになってしまうということです。そう考えると、できるだけ早い段階で、鉛筆の正しい持ち方を身につけさせることが大切だということが分かります。

 学校心理士の研修会で講師から聞いたのですが、ドイツの子どもたちは小学生ではほとんどの児童が正しく鉛筆を持てるということです。ドイツでは、小学校に入ってから初めて文字を習うと言うことで、小学校で文字を教えるときに鉛筆の持ち方も教えるということでした。そのため、正しく鉛筆を持てるということでした。しかし、日本では、小学校前にある程度文字をかけるようにしておくということが一般的のようです。こういったことから考えると、小学校に入学する前に、きちんとした持ち方を身につけてさせておくことが子どものためになるのだと思われます。

 幼児期の子どもたちは、お絵描きが大好きで、字を書き始める前からクレヨンなどを使ってお絵描きをすることが多いと思われます。クレヨンは正しい持ち方ではなくても、それほど困ったことはおきません。そのため、クレヨンの持ち方を指導したりせず、好きに絵を描かせることがほとんどだと思います。そのため、クレヨンの持ち方から習慣になってしまって、鉛筆の間違った持ち方がクセになってしまうことも多いようです。つまり、クレヨンを使い始める段階から、正しい持ち方を身につけさせることが大切なのです。

正しく持ちやすいクレヨン

 小さい子どもに正しい持ち方を指導するのは、意外と難しいものです。言葉で説明しても、なかなか説明が理解できないこともあります。絵を描きたい気持ちが強いと、持ち方を気にせずどんどん描こうとすることも自然なことです。大人が一生懸命に正しく持たせようとしても、なかなか無理があるものです。

サクラクレパス さんかくクーピーペンシル 12色

 こういった理由もあって、小さい子どもに正しいクレヨンの持ち方を覚えさせるには、持ちやすいクレヨンを使うことが、良い方法だと思われます。その一つが太くて持ちやすい三角形のクレヨンです。軸が三角形になっているので、子どもでも自然と親指と人差し指と中指の3本の指で持ちやすくなっているようです。

こどもえんぴつ6B

 また、鉛筆も三角形の軸で太めの鉛筆が市販されています。こういったものを活用して、早い段階から正しい持ち方を身につけるようにしておくことが、子どもには余計な負担をかけずに済む方法かもしれません。


  
タグ :子育て

Posted by リソースポート at 21:45Comments(0)子育て
LINEを使った相談活動にたくさんの相談がよせられたそうです。朝日新聞の10月12日の記事で報道されていました。記事から引用します。
チャットでカウンセリング
--------------------------------
長野県教育委員会が9月、通信アプリ「LINE」を使って中高生の悩み相談を受け付けたところ、2週間で1579件のアクセスがあり、このうち547件の相談に乗れたことが分かった。県教委が10日、発表した。2016年度の1年間に電話で寄せられた相談は計259件で、LINEの方がはるかに多かった。県教委は「気軽に相談できる効果が大きい」とみて本格導入を検討する。
--------------------------------
私は新聞報道以上の情報は知らないのですが、本当に意味のある試みだと思いました。

 私も、SNSやチャットを使ったカウンセリングには、非常に期待しています。特に子どもたちにとっては、相談しやすい仕組みになるのではないかと思います。また、それだけではなく、カウンセリングの質を高めるも期待できるのではないかと思います。

 例えば、通常のカウンセリングの場合には、カウンセラーはひとりで相談を受けます。でも、チャットの場合には、LINEのグループチャットのように、複数で相談を受けることもある程度自然なことだと思います。複数で相談を受けるシステムも、チャット相談の場合は簡単なことだと思います。例えば、相談員が2名で組んで、横に並んで打ち合わせしながら、子どもの相談に応えたらどうでしょうか? きっと、相談員がひとりでチャットの相談に応えるよりもずっと良い相談活動をできると思います。

 また、相談員が複数でひとりの相談チャットに応じるだけではなく、同時にAIがチャットに参加していて相談を行ったらどうでしょうか? 例えば、相談員2名、AI1名(?)での計3名で相談を受けるのです。AIが応えることは、人間には出せない反応やAIだから許される反応をすることが期待できると思います。万一AIが良くない反応をしたとしても、人間の相談員がそれをフォローすることができます。このチームは非常に意味のある支援をできるのではないかと期待してしまいます。

 また、子どもが相談チャットをしてみて、話をしても相談するのも良いかもしれないと感じたら、音声通話での相談にそのまま移行できる仕組みを導入してはどうでしょうか? 普通の電話相談のように始めから音声通話で相談する仕組みよりも、子ども(相談する側)の抵抗が少ないのではないかと思います。相談する側のスマホの画面に電話のアイコンがあって、それをタップするとそのまま今チャットで相談している相手と音声で話ができるようにするのです。相談員のうちの1名が話をして、もうひとりが相談者と相談員の話を聞きながらチャットで参加するというスタイルも面白いかもしれません。

 SNSやチャットを使った相談活動は、始まったばかりですので、もっともっと改善されていくことだと思います。子どもたちの幸せのために、知恵を集めて活動をどんどん発展させていってほしいと思っています。

  

Posted by リソースポート at 11:16Comments(0)カウンセリング
10月29日の「解決志向アプローチ入門講座その2」は、Atelier como というイベントスペースで行います。つくば市研究学園駅から徒歩10分にあるもとカフェスペースです。落ち着いたおしゃれな空間ですので、研修に集中して快適に学ぶことができます。
なお、「その1」に参加していない方のご参加もまったく問題ありません。解決志向アプローチを全く知らない方も大歓迎です。

ところで、解決志向アプローチとは、カウンセリグの短期療法の一種です。普通のカウンセリングでは悩みや問題を丁寧に聴いていきます。ところが、解決志向アプローチでは、問題や悩みに焦点を当てません。近い未来の良い状態に焦点を当ててそれについて話し合って、イメージを共有していきます。何がダメで、それがなぜダメなのかを考えるのではなく、自分にとって良い状態(解決)とは何かを、自分で考えることをカウンセラーが助けていきます。

私の実感では、不思議なことですが、解決について話し合い共有していくことで、自然と「解決」が近づいてくるのです。無理に解決しようとしたりするのではなく、自然と解決が近づいてくるのです。

しかも、この方法は、特別な方法ではなく、実はごく自然でごく常識的なものです。常識的で自然なものですが、「解決」そのものを大切にするという点に焦点を当てつづけること、相手の持つ力を深く信頼していることが、根本にあります。
子どもの教育に関わる方、子どもを支援する立場の方など、多くの方のご参加をお待ちしております。

詳しい情報はこちらから
https://www.resource-port.net/sfa/20171029yokoku/

お申し込みはこちらから
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01mpmfz02sy1.html  

Posted by リソースポート at 21:04Comments(0)解決志向アプローチカウンセリング
取手市がいじめによる自殺事件を踏まえて、補正予算で子どもへの相談体制などを整えるようです。

補正予算の概要という取手市の資料を見ると以下のように書かれています。

3.主な歳出補正の内容
今回の主な歳出補正のポイントは、3 項目となります。
1 点目に、いじめ防止対策に要する経費 299 万円を計上します。

【スクールカウンセラーの配置:1,600,000 円】
現在、県の事業でスクールカウンセラーが 4 名配置され、市内小中学校を
巡回していますが、児童・生徒、保護者、教職員に対し、より充実した教育
相談体制を整えるため、市の事業として 1 名を追加して配置します。
・スクールカウンセラー報酬額(臨床心理士等の有資格者)
30,000 円×2 日×25 週(6 か月)=1,500,000 円
・費用弁償
2,000 円×2 日×25 週(6 か月)=100,000 円

【命の授業講演会委託料:692,000 円】
市内中学校の 1、2 年生と保護者を対象に、専門家による講演会を開催し、
生徒の心に直接働きかけることで、命の大切さ、いじめを許さない、かけが
えのない命を尊重する気持ちを育てる取り組みを行います。
・講演料 108,000 円×6 回=648,000 円
・交通費、宿泊費 44,000 円

【学校生活支援事業教職員研修:698,000 円】
教職員が困っている子ども達を見分ける目を持ち、その時々に必要な支援
を過不足なく提供できるように、子ども達の隠された思いに気づき理解する
力を身に着けるため、市内小中学校の教職員への専門家による研修を行いま
す。
・講師謝礼 20,000 円×2 名×13 回=520,000 円
・費用弁償 3,000 円×2 名×13 回=78,000 円
・消耗品費 100,000 円

新聞報道では、産経新聞で「取手市教委、いじめ問題受けカウンセラー独自配置」と報道されていて、「新たなカウンセラーは市の教育関連施設に週2日勤務し、児童、生徒の相談を受けたり、保護者らに助言したりする。」とあります。新聞報道では、新たなカウンセラーは学校に勤務するのではないようです。取手市は「スクールカウンセラーの配置」と書かれていますが、教育関連施設に勤務だとスクールカウンセラーではありません。たいしたことでは無いかもしれませんが、どちらなのでしょうか?

新聞報道などで見る限りでは、いじめの事件から自殺に至るまでの経緯はあまりはっきりとは分かりません。いじめそのものが子どもを追い詰めることは間違いありませんが、学校や教職員の対応が悪いと子どもをさらに追い詰めてしまいます。教職員の対応こそ、一番の焦点になると思います。教職員の研修のために、予算をあてることは、ある程度意味があると思います。取手市内には小学校が14校、中学校が6校あります。が、2名で13回という予算の根拠は良く分かりませんね。
  

Posted by リソースポート at 08:23Comments(0)子育てカウンセリング
稲敷市庁舎 平成29年8月17日(木)に茨城県稲敷市で「子どもの自殺予防~ おとなたちにできること~」というテーマで講演をさせていただきました。
 稲敷市は、担当の方が精神保健福祉士の資格を持ったかたで、非常に熱心にこの企画を立ち上げてこられたようでした。ちなみに写真は稲敷市役所です。会場の設備も快適で、気持ちよく講演させていただきました。

 参加者は、小中学校の先生や市役所の関連課の職員の皆さんなど50名ほどでした。以前に学校で一緒に仕事をさせたいただいた先生方もいらっしゃって、講演中にはうなずいて聞いてくださり、あとでも声をかけて下さったり、ありがたい気持ちになりました。

 講演では、国の動きから、実際の子どもへのかかわり方まで幅広くお話をさせていただきました。最初に、平成29年7月に閣議決定された最新の「自殺総合対策大綱」に触れて国の施策の動きを概説しました。

 大綱では当面の重点施策の中に「子ども・若者の自殺対策を更に推進する」ことがとりあげられています。子ども・若者の自殺対策のために、具体的には以下のようなポイントがあげられています。
・いじめを苦にした子どもの自殺の予防
・学生・生徒への支援充実
・SOSの出し方に関する教育の推進
・子どもへの支援の充実
・若者への支援の充実
・若者の特性に応じた支援の充実
・知人等への支援

自殺予防活動は、一般に予防活動、危機対応、事後対応の3段階に分けて考えられています。予防活動(Prevention:プリベンション)とは、
通常の活動の中における支援です。日常的な悩みの相談に応えたり、生徒同士の良い人間関係づくりをうながしたり、ひとり一人の自己肯定感を育てたり、ソーシャルスキルを育てたりする活動も、自殺予防の活動とした考えることができるわけです。危機対応(Intervention:インターベンション)は、死にたい気持ちを抱えているなどの現在危機的な状況にある人を対象にした支援です。事後対応(Postvention:ポストベンション)不幸にも自殺が起きてしまった後に次なる自殺を起こさないための支援です。

 今回の講演では、特に、予防活動や危機対応の中での話の聴き方に焦点を当てて、お話をさせていただきました。自殺総合対策大綱で、「SOSの出し方に関する教育の推進」として具体的なポイントが上げられているからです。これには、大人がきちんと受け止めることが大前提だと思います。子どもがSOSを出したのに、きちんと聴けなかったら、子どもをさらに深く傷つけてしまします。だからこそ、丁寧に話を聴き子どもの気持ちを受けとめることをお伝えしてきました。どんな場合でも支援の基本は話を聴くことだと改めて思います。

 実は、この10年ほど、文部科学省などが子どもの自殺予防には国を挙げて取り組んできています。研究成果が利用可能な形でまとめられて、インターネットで手に入れることができます。例えば、文部科学省が平成9年にまとめた「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」は具体的にどんなふうに子どもの自殺予防に取り組んだら良いか分かりやすく書かれています。さらにその内容をコンパクトにまとめたリーフレットもあります。「教師が知っておきたい」というタイトルですが、先生に限らず全ての大人に知っておいてほしい内容です。ぜひ一読されることをお勧めします。
 また、子どもへの自殺予防教育の導入についてまとめられている「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」も一読の価値があります。子どもに自殺予防教育を行うことについては、自殺というテーマを扱うため、色々な不安や心配を持たれている側面もあります。そういった不安や心配を理解しつつ、共通理解を進めていくことの大切さから、この文部科学省の手引きは書かれています。現実に即していて、かつ丁寧な内容になっていると思います。

 子どもにかかわる人にはぜひお勧めしたい資料です。

 リソースポートのホームページでは、講演の内容を踏まえつつ、死にたい気持ちを抱えた子どもたちにどんなふうにかかわっていくかについては書いてみました。興味のある方は、「稲敷市で子どもの自殺予防についての講演をしました」ご参照ください。  

Posted by リソースポート at 21:13Comments(0)子育てカウンセリング
日本学校心理学会つくば大会
日本学校心理学会の第19回つくば大会が9月16日(土)と17日(日)に筑波大学筑波キャンパス春日校舎で開かれます。魅力的なプログラムがいっぱいです。会員ではない方も当日参加できます。
--------------------------------
子どもが笑顔になるコラボレーション~チーム学校の実現に向けて~
会期:2017年9月16日(土)17日(日)
会場:筑波大学 筑波キャンパス春日地区
つくば駅から徒歩7分(茨城県つくば市春日1丁目)

基調講演会
「やる気を引き出すコーチング~体罰からの脱却を目指して~」
 講師 山口香先生
    筑波大学体育系准教授、オリンピックメダリスト

特別講演会
「すべての子どものための心理教育的援助サービス~チーム学校を通して~」
 講師 石隈利紀先生
    日本学校心理学会理事長、東京成徳大学教授

教育講演会Ⅰ
「クラスに必ず1人はいる!? セクシュアルマイノリティの子どもたち」
 講師 杉山文野氏

教育講演会Ⅱ
「知能検査を活用した子どもの理解と支援」
 講師 大六一志先生

教育講演会Ⅲ
「学校危機に関するシミュレーション研修-いじめが疑われるプールでの事故を想定して-」
 講師 小林朋子先生

実行委員会企画シンポジウムⅠ
「国家資格『公認心理師』は学校教育にどう貢献するか」
 企画 石隈利紀(東京成徳大学教授)

実行委員会企画シンポジウムⅡ
「『チーム学校』における多職種協働・連携とその効果を問う
 -茨城県のフレックススクールの実践事例を通して-」
 企画 石隈利紀(東京成徳大学教授)
    萩谷孝男(水戸市総合教育研究所長)
    庄司一子(筑波大学教授)
その他、自主シンポ、ポスター発表など
--------------------------------
詳しい情報は日本学校心理学会のホームページからご覧下さい。  
タグ :学校心理

Posted by リソースポート at 08:00Comments(0)学校心理士

2017年08月08日

LINEでいじめ相談


ネットニュースを見ていると、「「LINE」でいじめ相談に応じるサービスが開始 - 滋賀県大津市で」(http://news.mynavi.jp/news/2017/08/07/163/)とのニュースを見かけました。
こういう取り組みはやってみると良いと思います。やってみながら改善して、子どもたちが相談しやすい環境を作っていくことが大切ですね。試験的な取り組みでモデル校数校が対象のようですが、広がっていくと良いですね。

「モデル校の生徒へは、相談用LINEアカウントを友だち登録するために必要な「QRコード」が入ったチラシなどを配布。」とのことです。お店とかがよく、友だち登録したらスタンプ無料などというキャンペーンやっていますが、可愛いラインスタンプがもらえると、登録が進むと思うんですが、いかがでしょう。

ところで、LINEなんかは、相談窓口だけじゃなくて、企業としてもっといじめ防止に取り組んでほしいと思います。例えば、AIの活用です。LINEのグループチャットには、AIがかかわるようにして、いじめと思われるような書き込みが生じたときには、AIらしい、ちょっととぼけたツッコミなどをして、場を和ませつつ、チャットのメンバーにやりすぎかなと自分で気づくチャンスを与えるような、機能を付けたら良いと思います。

自然言語をAIとして認識してコミュニケーションを取るというのは、今一番ホットな研究テーマのようです。研究者も、LINEと協力して、いじめを予防するグループチャットAIの開発とか、科研費ももらえそうですが、いかがですか?  
タグ :子育て

Posted by リソースポート at 07:19Comments(0)子育て

2017年07月17日

点数化してみる

 先日の、解決志向アプローチ入門講座でのことを、またすこし報告します。カウンセリングのやりとりのデモンストレーションを行いました。時間は、約15分という短い時間でした。実はその短い時間の中で、少しだけ良い変化が生じてきたのですが、それは、クライエント(相談者)役をやって下さった方も感じたようですし、見ていた参加者の皆さんも感じ取って下さったようです。
 デモンストレーションでは、クライエント役の方は、自分自身が実際に悩んでいることを話してくださいました。デモンストレーションでは、なりたい自分を聞くことに、前半の半分ぐらいの時間を使いました。実は、ただ単に、「なりたい自分はどんな自分ですか?」と聞いただけでは、なかなか具体的にはなりません。解決志向アプローチ独特の質問技法を活用して聞いていきました。10分弱で、ある程度なりたい自分が明確になった段階で、スケーリングクエスチョンを行ってみました。スケーリングクエスチョンは、小さな差位に目を向け、小さな変化が生じることを促すために使われます。また、変化については、クライエントが「ちょっと良くなった」などと曖昧に表現しがちなのですが、それを具体的にするという意味もあります。

 典型的な質問の言い方は、「最高に良い時を10点として、最悪を1点としたら、今は、何点ぐらいですか?」と投げかけます。ほとんどの場合クライエントは、あまり戸惑ったりせずに「大体、4点ぐらいだと思います」などと答えてくれます。そこで、さらに「それでは、その4点という点数ですが、4点の理由について教えて下さい。」などと、今できていることを具体的に聞いていきます。そして、「もし、今よりも、1点だけ上がったとしたら、どんなふうに良いことが起きそう?」などと、小さな変化に目を向ける質問をします。
 デモンストレーションでは、こんなふうにクライエント(相談者)役をやってくれた方に、数値で表してもらっていました。それだけの働きかけなのですが、自分自身の良い方向性が見えてきて、表情まで明るくなってきたのです。本人も観察していた人達もそれに気づいてくれて、デモンストレーションとしては、成功でした。

このスケーリングクエスチョンは日常生活の中で、自分ひとりだけでも使える方法だと思います。自分自身のなりたい自分をしっかりイメージした後に、「最高に良い時を10点として、最悪を1点としたら、今は、何点ぐらいですか?」と自分自身に聞いてみます。そして、自分で付けた点数について、その点数分のできていることを具体的に書き出してみます。いくつでもOKです。そして、今よりも1点だけあがった時を少し想像してみて下さい。今よりも、1点だけあがった状態の自分は、今と違って何ができているでしょうか? それも想像してみて、具体的に書き出してみます。なお、念のためですが、「今より1点だけあがるためには、何をしなくてはならないか?」とは考えないで下さい。

「今よりも、1点だけあがったときの自分は、今よりも何ができているか?」とその時の自分を想像してみて、その想像の中でできていることを具体的に書き出してみて下さい。

スケーリングクエスチョンなどの解決志向アプローチの技法については、心理教育支援室リソースポートの解決志向アプローチの技法のページをご参照ください。  

Posted by リソースポート at 19:23Comments(0)解決志向アプローチ
もうすぐ夏休みですが、夏休みの期間中、学校の先生方はたくさんの研修に追われます。私も、いくつかの研修会に呼んでいただき、講師を担当することになっています。今年は、発達障害の子どもたちをどう理解してどう支援していくのかという内容での研修をいくつか頼まれています。私なりに、今まで学んできたことや自分の実践の中で工夫してきて手応えを感じていることをお伝えしようと思っています。



 そういった研修会の中でお話ししようと思っていることの一つに、「ごめんなさいが言えない」という問題への支援方法があります。学校現場では、発達障害の子どもたちが、友達とトラブルになってしまったときになかなか謝罪できず、先生方 が対応に苦慮しているという現状があります。相手の子に謝るように繰り返し指導しているけれども、自分勝手な理屈を主張して謝らないというような事例もあるようです。先生方も発達障害の子どもを責めたいわけではなく、その子が相手の子どもから否定的に思われることを避けるため、社会へ出たときに人と上手くやっていく力を育てるため、などと子どものためを思って一生懸命指導されているようです。しかし、繰り返し指導してもなかなか謝れるようにならないケースがあります。

 その一つに、「悪いことをした人は謝らないといけない」という指導方法がかえって逆効果になっている場合があります。発達障害の子どもの中には、自分自身が感じて いることが世界の全てであって、他人が自分とは違うふうに感じているということがピントこない子どももいます。そうすると、その子どもにとっては、自分自身は「悪いこと」はしていないという感覚なのです。
 例えば、小学校2年生の授業中の活動で話し合い活動をしていたとします。A君は、後ろを向いて後ろの座席の子ども(B君)と話していました。時間が来て、先生が話し合い終了の指示を出して、A君は前を向きました。そのときに、机の端においてあったB君の筆箱にA君の手が当たってしまって、B君の筆箱が机から落ちてしまいました。そしてB君の筆箱は割れてしまい、B君は泣きはじめてしまいました。それを見た担任の先生は、何が起 きたのかを本人や周囲の子どもたちから聞いて、状況を理解しました。そして、A君に対してB君に謝るように言いました。しかし、A君は「僕は悪くない」と言い張って、全く謝りません。さらに先生が指導すると、「B君が机の端に筆箱を置いていたのが悪い」「先生が急に前を向くように言ったのが悪い」と言ってきます。そこで、先生は「筆箱を落としたのはA君なんだから、悪いのはA君でしょう。悪いことをした人は謝らないといけないよ」と指導しますが、A君は「自分は悪くない」「B君と先生が悪い」と先ほどと同じ事を言ってきて指導を全く受け入れられない状況です。

 発達障害を持つ子どもの中には、こんなふうに友達とトラブルになって しまったときに謝れないということが生じがちです。こんな場合にお勧めできない指導方法は、「悪いことをした子は謝らないといけないよ」という言葉に表れてきている、「誰が悪いかを決め」「悪いことをした人が謝罪する」という指導です。発達障害の子どもたちは、他者の立場に立って、他者の見方で自分自身を理解することが苦手です。つまり、自分自身の立場にたって、自分自身の見方で理解した世界が世界の全てなのです。上述の例では、A君は筆箱を落としてやろうとか、B君を困らせてやろうなどとは全く考えていなかったでしょう。自分自身には悪意はないのです。だから「誰が悪いか?」とA君を追求していけば、A君は「筆箱を机の端に置い たB君が悪い」とか、「急に呼びかけてあわてさせた先生が悪い」と考えを進めていくしかありません。こういった状況で無理に「ごめんなさい」と言わせても、形だけの謝罪になってしまいがちです。A君にとっても、理解できない不快な体験として記憶される可能性が高いですし、B君にとっても納得のいかない結末となってしまうでしょう。

 では、どんなふうに指導していけば、トラブルが生じたときに謝らせることができるのでしょうか? まず、必要なことは、共感的にかかわることです。A君にもB君にも共感的にかかわる必要があります。B君が泣いているわけですから、まずB君に「筆箱が壊れてしまって、ショックだね。悲しい気持ちになる ね。」などと感情を言語化しつつ、気持ちを受け止めていくことが大切でしょう。そして、A君に対して「筆箱が落ちちゃって壊れちゃって、A君もびっくりしたかな? ショックだよね。」などと同様に声をかけてあげたいところです。さらに「B君が、どんな気持になっているか、A君は分かるかな?」、あるいは、「あなた(A君)も、ビックリしたりショックだったり、いやな気持ちになっちゃったんだけど、B君も、すごくいやな気持ちになったんだよね。」などとB君の気持ちに目を向けさせます。もしA君が「(B君は)すごく悲しいんだって」などと、B君の気持ちを受け止める発言が出てきたら、すごくほめてあげたいと思います。ここで、こちら から「相手の気持ちを大切にする言葉を前に勉強したでしょう。覚えてるかな?」とA君に投げかけます。(事前の学習を思い出させます。)そして、A君にどう言えばいいかを考えさせて、答えられたら、それを言うように促します。答えられなかったら、「この場合はB君に「すみませんでした」って言おうね」などと促して、できる限り言わせるように指導します。言えない場合には、「A君は本当は「すみませんでした」って言いたいけど恥ずかしくって言えないから先生がA君の代わりにB君に言っておいてもいいかな?」とA君に確認した上で、A君のいる場面で、A君に聞こえるように、B君に「すみませんでした」と謝ります。謝って終わりではなく て、「これからはどうしたらいいと思う?」などとA君(B君にも)投げかけます。自分の行動を振り返ることも大切なことだと思われます。

 途中で書いたように、この指導が成立するためには、事前の指導が必要です。「ありがとう」「ごめんなさい」「すみません」という言葉は相手の気持ちを大切にする言葉だと授業などで学ばせておきます。大人が電車で席を譲ってもらった時にどう言うかを例にあげて学習します。席を譲ってもらった人が、譲ってくれた人に「ありがとう」と言う場合もありますが、「ごめんなさい」とか「すみません」と言う場合もあります。自分が悪いことをしたから「ごめんなさい」とか「すみません」と謝っているのではな く、相手の気持ち(善意)に対して配慮するための言葉だと学ばせます。悪いことをした人が使うわけではないということがポイントです。誰も悪くない時に、相手の気持ちを大切に思って、「ありがとう」「すみません」「ごめんなさい」などと言うわけです。上の例で「すみませんでした」と言うように促すことは、2つの理由があります。1つは、「ごめんなさい」というのは、悪いことをしたときに謝る言葉だと、色々な場面で教え込まれてしまっている可能性があるからです。A君が「自分は悪くないからごめんなさいは言わない」と拒否するかもしれません。もう1つの理由は語原からです。「すみません」は「済みません」とも「澄みません」とも漢字 で書きます。「気持ちが済まない」つまり、気持ちの整理がつかないというニュアンスが含まれています。「気持ちが澄まない」も同様で、気持ちの中にモヤモヤが残ってしまうというニュアンスが含まれています。相手の気持ちも自分の気持ちも、整理がつかなかったり、モヤモヤするということを、口に出して表現して、気持ちを大切にする言葉が「すみません」という言葉なのです。こういった理由から、「すみませんでした」と謝意を表すことを促すのがよいと思われます。  

Posted by リソースポート at 17:01Comments(0)子育て発達障害
 つくば市の研究学園駅から徒歩10分程度の所にある、Atelier como というレンタルスペースをお借りして、「解決志向アプローチ入門講座」
を行いました。参加者は、9名でした。また、今回の講座は学校心理士資格の資格更新ポイントB1(1ポイント)として認められました。

 解決志向アプローチというのは、カウンセリングの理論の一つで、短期的に効果的に良い変化を促していく方法です。カウンセリングだけではなく、コーチングなどの人材育成にも活用されています。今回の講座では、講義を聞いてもらうだけではなく、面接のデモンストレーションや演習、実習(ロールプレイ)など、体験しながら学ぶことを大切に行いました。面接のデモンストレーションは、解決志向アプローチを使った対話の例をまずは見てもらうということで、私がカウンセラー役となり、参加者からお一人募ってクライエント役をやっていただきました。解決像を(概ね)構築して、スケーリングクエスチョンを使ってみたところで、15分程度の時間が経過して、デモンストレーションを終えました。解決像について一緒に考えるプロセスや、スケーリングをするするプロセスで、クライエント役の人が前向きになったり、解決が近づいてきていることを観察していた参加者の皆さんが気づいてくれたようです。

 その後の演習、実習では「解決像を構築する」「スケーリングクエスチョン」の2つの内容を中心として進めました。「解決像」は解決志向アプローチの最も大切なところだと思いますが、一番、分かりにくいところでもあると思います。今までに習慣化している「問題」や「悩み」、それらの「原因」に目を向けるという思考プロセスが邪魔をしてしまうからだと思います。そこで、今回は「解決像」について一通り開設した後に、簡単な事例をもとにして解決像を構築していく演習を小グループで行いました。「問題」や「原因」ではなく、しかも「解決策」でもなく、「解決像」を一緒に構築していくということを体感していていただけたように思います。

「スケーリングクエスチョン」については、質問の仕方や言い回しなどについて説明した後に、ロールプレイの実習を行いました。3人一組で聴き手、話し手、観察者の役割をとってもらい、聴き手には、少々強引でもスケーリングクエスチョンを使ってみることをロールプレイを行いました。苦労した聴き手の方もいらっしゃったようですが、その後の振り返りやディスカッションでは有意義な話し合いができました。

 新幹線を使って愛知から来て下さった方、高速道路を使って福島から来て下さった方、茨城県内からも1時間以上かけて来て下さった方など、わざわざ遠くから来て下さった方が多く、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。また、10月29日(日)には同じ会場をお借りして、「解決志向アプローチ入門講座 その2」を行う計画です。内容は、「関係のアセスメント」、「リソース」、「コンプリメント」を考えています。「リソース」は解決志向アプローチのなかでは、「解決像」に次いで重要な概念だと(私は)思っております。また、実習や演習をおこなって、実りのある講座を行おうと思います。


講座についての参加者の皆さんの評価(参加者9名)
研修は分かりやすかった
 あてはまる    :8名
 ややあてはまる  :1名
 どちらともいえない :0名
 ややあてはまらない:0名
 あてはまらない  :0名

現場で役に立つと思う
 あてはまる    :9名
 ややあてはまる  :0名
 どちらともいえない:0名
 ややあてはまらない:0名
 あてはまらない  :0名

参加者の皆さんの詳しい感想は、心理教育支援室リソースポートのこちらのページから  

Posted by リソースポート at 08:55Comments(0)解決志向アプローチ
プロフィール
リソースポート
リソースポート
学校心理士スーパーバイザー、臨床心理士でカウンセリングに従事しています最近は、カウンセリングの専門家や子どもの支援者の研修に力を入れています。
画像は、2,017年1月10日に発行した拙著「一瞬で良い変化を起こす10秒・30秒・3分カウンセリング―すべての教師とスクールカウンセラーのためにー」の表紙です。
QRコード
QRCODE
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人